業務内容

不動産鑑定士の仕事

不動産鑑定士の仕事の主なものは、不動産の価格を示すことです。
その価格を基にした付随的な業務として、最近は不動産の調査分析や不動産有効利用、開発計画の策定等のコンサルタントと業務が広がっています。

鑑定評価書の利用方法は様々です。

定期的な鑑定評価のひとつとして、国や都道府県が行う「地価公示」や「都道府県地価調査」「相続税標準地・固定資産税標準宅地の評価」があります。そのほかにも公共用地の取得に伴う評価や裁判上の評価、相続財産の評価、不動産の担保評価なども行っています。

不動産の売買

土地や建物を売りたい、あるいは買いたい時に適正な価格をお知らせできます。不動産鑑定評価書は、不動産鑑定士がその対象不動産に対する十分な調査・分析を尽くした後に、適正と判定した価格を記した書面です。不動産購入前に鑑定評価書を取得しておくことは、買主が購入前調査を”過失なく”行ったことの証にもなるものです。特に工場や工場跡地などの売買の際など、「購入前調査」の実施として、不動産鑑定を依頼することをお勧めいたします。

たとえば以下のケースでは「適正な価格」による売買が要請されるため、不動産鑑定士による価格の査定が有用です。

ケース1
長年個人(会社社長個人名義)から借りてきた会社建物の敷地(土地)を会社が買い取る場合
ケース2
長年会社に会社建物の敷地として土地を貸していたが、個人(会社社長個人)が建物を買い取る場合

適正地代・家賃の評価

近年、土地の賃料(地代)や建物の賃料(家賃)についての適正賃料の評価依頼が、民間・公共ともに増えています。民間にあっては特に事業用定期借地権設定契約のまき直し(更新ではなく新規契約になるため)のためのご依頼が、公共にあっては特に継続中の貸地にかかる賃料見直しのご依頼が、それぞれ多いように思います。

不動産賃貸借契約の内容は、個別性が強く、土地の利用履歴や契約の経緯なども複雑に絡み合っているため、適正な地代または家賃の査定に当たっては、特に慎重な調査・分析を行ってまいります。

新規の地代・家賃のみならず、継続している地代・家賃・立退料等に交渉を行なう場合に鑑定評価が役に立ちます。
賃料は一般的には、1.新規賃料(正常賃料)2.継続賃料(限定賃料)に大別されますが、不動産鑑定で賃料評価が依頼される場合は、通常2.の継続賃料(地代・家賃)のケースが多くなります。
継続賃料は、純粋に経済的な諸状況や諸事情だけを前提にして成り立つ経済価値ではなく、両当事者が既に締結しこれまで順守してきた契約内容によって生まれた状況を考慮すべきです。

賃料について悩みがあれば、満足のいく対応ができると信じておりますので、ぜひご相談下さい。

不動産の担保評価

お手持ちの不動産を担保に、事業資金などを借りるとき、鑑定評価書があれば借りられる金額の予想がつくなど便利です。逆に担保に取る場合には、評価額がはっきりしていることが絶対条件です。

不動産の有効活用

不動産をもっと有効に利用したい…こんなときには不動産のエキスパートとして、広く個人又は企業様を対象に、お手持ちの資産を守り育てるために土地の有効利用・調査分析・不動産に関する各種コンサルティングができます。

土地活用と資産の組み換え

土地活用は何も賃貸アパートを建設することだけではありません。その土地にマッチした付加価値を創造させることができる土地活用であれば成功するでしょう。しかしそうした可能性が無いと判断した場合には資産を”組み換える”ことが最善の土地活用といえるでしょう。

そして従来の土地に建物を建てるにしても、資産の組み換えを行うにしても、「不動産のプロ」たる不動産鑑定士の判断が有用であるものと考えております。

資産の組み換えはあくまでも目的達成のための手段(ツール)であって、相続・事業承継・借地人やテナントとのトラブル、不動産の戦略的管理、固定資産税・所得税・法人税・相続税などの税金対策、借入金返済等々の目的(悩み事・困り事)に応じた適切な方法を選択、実行する、その手助けとなるのが不動産鑑定士によるアドバイザリーです。

公共用地の取得

適正な価格での売買が公共事業の円滑な推進の鍵を握っており、不動産の価格の適正化が社会に与える影響も大きく、重要なポイントとなっています。

しかし、公共事業における価格というものは、需要供給が価格を決定することを大前提とした場合、供給の側面で非弾力的な場合が多く、担当の方々にも常に悩みの多い問題かと思われます。

相続の際の資産評価

相続税法上は不動産の価額を相続税評価額によって課税するので、直接的には鑑定評価を必要としません。しかしながら、遺産を相続人が分割する際、相続税評価額や固定資産評価額

は時価ではないため、公平な分配のため時価による把握が必要となり、不動産の鑑定評価が活きてきます。

企業保有不動産の時価評価(CRE戦略)

会計基準の国際化に伴い、企業活動の資源である企業保有不動産について、より厳格かつ適切な不動産の保全が必要となり、株主・債権者等の利害関係者に対する説明責任がより強まっていく傾向にあります。

財務諸表への開示義務の有無にかかわらず、不動産がリスク資産であることを認識し、保有不動産の時価(市場価値、使用価値)を把握したうえで、適切な不動産戦略を採用することは、企業価値の最大化の実現に不可欠な経営戦略であります。

企業内担当者様がCRE戦略を推進していく手助けとして不動産鑑定士によるアドバイザリー業務があります。

投資用不動産の購入

近年、マイホームの購入時に建築士等の専門家に依頼して建物診断(マンションの場合は内覧会同行)をしてもらう人の割合が増えているように思います。言ってみれば建物の物的態様に関する掛け捨ての保険を払うようなイメージです。

では投資用不動産についてはどうなのでしょうか?

投資用不動産について、土地・建物の価格内訳を出してほしいというお話はききますが、購入前に遵法性や市場性、耐震性などのリスク評価のお話はあまり聞こえてきません。

仲介業者からも適切な情報開示はあるでしょうが、”情報の非対称性”といってまだまだユーザー(不動産投資家)の方への情報量は少ないと思います。

また様々な情報をうまく収集・編集・分析できる時間・経験・知識を持ち合わせている不動産投資家の方はまだ少ないとも思います。『デューディリジェンス』といって、不動産購入前の詳細調査は欧米では当然のように実施されています。すなわち、リスク資産としての不動産を購入するのにどれだけ、どのようなリスクがあるのかを把握し、またそのリスクに見合ったリターン(賃貸収益)をその不動産から得られるのかを検証する手段として重要視されているのです。

弊社では不動産投資会社でこの『デューディリジェンス』の経験を積んだ不動産鑑定士もおります。不動産投資をしようと考えている方、不動産投資家としてリスクテイクする上でこの『デューディリジェンス』を行って適切な投資用不動産を取得されることをおすすめ致します。

担保不動産の回収見込額の査定

貸付金の担保となっている不動産について、不動産処分(任意売却又は競売)に基づく回収見込額の査定については処分シナリオに応じて市場性リスク、期間リスク、先順位・按分の有無、滞納租税の有無等を考慮した担保評価をすることが重要になってきます。

回収見込額を適正に評価することで債権回収のお手伝いをさせていただきます。

PPP:パブリック・プライベート・パートナーシップ

公共事業も住民の税金といういわば”出資金”を元手におこなうプロジェクトといえるので、歳入の極大化が図られるべきなのは当然です。事業遂行全般にわたり知識・経験を有する民間の専門家がプロジェクトマネジメント、プロジェクト評価の面から参画することによって、公共側からみれば、よりよい住民サービス提供と資産活用になり、民間側からみれば、事業用地確保や投資額の削減が達せられる、公共も民間もWin-Winとなるパートナーシップ”PPP”がいま求められています。

当社は、長く公共用地関連の鑑定作業に従事しており、公共事業における不動産鑑定評価とはいかなるものかを熟知しているつもりです。不動産評価の側面から地域貢献を果たしていきたいと考えております。